Ads by Google

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--年--月--日 スポンサー広告 トラックバック:- コメント:-

第三話−5

いたって普通のその場所で、流雨はきょろきょろと辺りを見回す。
「でー、どこら辺から出るのー?」
別におかしなところはないけどなあ?首を傾げる流雨の腕を、豆がひっぱる。
その顔はどこかしら青い。
首をかしげて流雨が他のみんなを見てみても、一様にどこか顔色が悪い。瑞輝が前に進み出て、前方を睨みつける。
「な、なあに、どうしたの?」
「・・・さがってろ・・・!」
低く搾り出すように。瑞輝の頬には汗が伝っていた。
雰囲気に促されるように流雨が前に向き直る。
途端に生暖かい風が顔に吹き付けた。
「きゃあっ」
吹雪姉妹が短い悲鳴を上げて、お互いに抱き合う。恐々眼をあけた流雨の瞳に映ったのは、
「なん・・・だ、この、化け物?!」
豆の声が、静かな森に響く。
そう、静かだ。不自然に。風に梢が揺れることも、鳥や獣のざわめきもない。
「レッドドラゴン・・・!」
マスムラが引きつった声で小さく叫ぶ。
「なにそれ?!」
「目の前の化け物の名称だよ」
椿が吐き捨てる。珍しくも顔色が悪い。
目の前の化け物、レッドドラゴンはその名の通り、紅い体躯に光を反射させ鋭い牙をちらつかせる。瞳は硝子玉のように透明で。
それはドラゴン種の怒りを表す。
小さく瑞輝は舌打ちする。刀に手をかけた。
「・・・この間といい今といい、どうなってんだよ・・・この森の魔獣は人を襲わないはずじゃなかったのかよ!」
「・・・・・・それはこの学園の、長の魔力があればこそなのだよ」
振り返るとにわとりが、瑞輝を見つめていた。
鈍く光る瞳。混沌とした闇色。背筋に悪寒が走るのを感じた。
「どういうことだ?!まさか今学園長が、」
「そんなこと言ってる場合じゃねェと思うんだが」
男がいつの間にか傍らにいたことに、瑞輝の心臓が跳ねる。速いどころか気配も感じなかった。
「お前らさ、こいつに勝てそう?」
「・・・五分五分ってとこだ。レッドドラゴンはドラゴン種の中でも上位に入るからな」
大体なんで学園の森にこんなもんいるんだ。学園長ってのは本当に分からん。

2007年06月16日 第二章 トラックバック:0 コメント:0












管理者にだけ公開する